今回は【中学受験算数】約数・倍数の基本を分かりやすく解説します。
数の性質は難関校に関わらず、どの学校においても重要な単元です。
それでは約数・倍数の勉強を勉強していきましょう。
計算問題を早く正確に解く上で覚えておくことは下の記事に書いています。
この記事を書いた人:さば先生
中学受験の塾講師として18年。今までの教えてきた生徒数は3000名以上。教室長としても複数教場を運営後、算数の教科責任者として若手の育成や教材作成を手掛ける。現在は東京の有名塾の管理職かつ現役で教壇に立ち続けています!
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約数を勉強する上で大切なこと
約数とは
ある数を割り切ることができる整数のこと
これはさすがにいいよね…??
それはさすがに分かってますよ…(ドキドキ)
約数には相方がいる
約数を書き出す時は必ずセットで書くことを心がけましょう!
約数の数は普通は偶数個になる
例えば12の約数は1,2,3,4,6,12ですが…
1×12 2×6 3×4
のように必ず2つセットで書くことができます。
3セットできるので12の約数は6個ですね!
うんうん!
塾でもそう書きなさいって習ったよ!
約数の数が偶数個にならない特別なパターン
では、16の約数はどうでしょう?
同じように書くと
1×16 2×8 4×4
あれ…
4と4は同じだね…
いいことに気づいたねA君!
3セットありますが4は1個として数えるので
16の約数の数は6個ではなく5個になります!
約数の個数について覚えておくこと!
約数の個数についてもう少しお話をします。
なんか楽しくなってきたぞー!
約数の個数について覚えるものは3つあります!
- 約数の個数が2個のもの
- 約数の個数が奇数個のもの
- 約数の個数が3個のもの
約数の個数が2個のもの
2個しかないやつか…
1は違うし2とか3とかそうじゃない?!
A君素晴らしいね!
約数が2個しかない数は2,3,5,7,11,13,17・・・がそうですね。
もうお気づきですよね!
約数が2個しかない数=素数
素数っていくつまで覚えればいいの?
私は生徒にはとりあえず30までの素数は覚えなさいと言っています。ここまで覚えていないと計算問題の約分で苦戦してしまうことがあります。余談ですが、2021年度入試の時は、2021=43×47なので43と47が素数であることを受験生に特例で確認しました。実際に入試でも数問出題されていましたね!ちなみにずいぶん先ですが2027は素数です。自分のお子様の受験年度はとりあえず素因数分解をしてどんな数を覚えておきましょう!
約数の個数が奇数個のもの
ほとんどの数はセットで書いたときに相方がいるので、約数の数はほとんどが偶数個になります。
約数の数が奇数個になるのは珍しいから覚えておくと便利だよ!
さっきの16とかは約数の数が奇数個になる珍しいパターンなんですね。
16のように約数をセットで書いていったときに、最後のセットが同じ数同士をかけ算するようなものは約数の数が奇数個になります!
A君!!
同じ数同士をかけ算した数をなんて言ったか覚えているかな??
ウッ……
同じ数同士をかけ算した数を平方数(四角数)と言います。
約数が奇数個=平方数
約数の個数が3個のもの
約数の個数が3個のものです。
ん、3個は奇数個だからさっきと同じじゃない…?
A君、いいことに気づきましたね!
3個は確かに奇数個ですが、先ほどの平方数の中でも特別なものが約数の数が3個になります。
約数の数が3個のものは、平方数の中でも同じ素数×同じ素数
具体的には以下のような数です。
4(2×2),9(3×3),25(5×5),49(7×7),121(11×11),169(13×13)・・・
約数の個数の調べか方(上級編)
どんな数でも約数の個数を書き出さなくても調べる方法があります。
A君!360の約数は何個あるか分かるかな?
えーと…
1×360 2×180 3×120 4×90・・・
んーん…………
(ダメだ…)
約数の個数を出す簡単な方法を教えるよ!
約数の個数を調べるためには素因数分解!
確認のために360の約数を書き出してみます。
(1/360)(2/180)(3/120)
(4/90)(5/72)(6/60)
(8/45)(9/40)(10/36)
(12/30)(15/24)(18/20)
これを全部書き出さなくても個数を調べる方法があります。
まずは360を素因数分解をします。
360=2×2×2×3×3×5です。
例えば360の約数である
36=2×2×3×3 30=2×3×5 90=2×3×3×5というように素因数分解ができます。
360を素因数分解したものと見比べてみてください。
あれっ…
約数って360の素因数と似てるな…
いいことに気づいたね!
約数は素因数の組み合わせで出来ている
つまり、約数というのはその数の素因数の組み合わせによってできています。
あー。
360=2×2×2×3×3×5だからこの中の数字を選んでかけ算してる感じか…!
そういうことだね!
A君!いい感じ!
約数の個数を出す方法
360の素因数は
2が3個、3が2個、5が1個ですね。
この中から数字を何個かずつ選んでかけ算をすれば約数になります。
例えば2を2個、5を1個選ぶと2×2×5₌20、2を1個と3を2個を選ぶと2×3×3=18ということになります。
あとは同じ数字を何個ずつを選ぶかを考えればよいわけです。
ここで注意点が一つ!
それぞれの数字から1個は必ず選ばなければいけないという訳ではありません。15(3×5)も360の約数ですが、3を1個と5を1個選んでいます。別に2を選ばなくても構いません。ちなみに2,3,5から何も選ばないと1になります。1はどの数でも約数ですものね。
つまり2を何個選ぶか考えるときは0個~3個で考えなければいけないんだね!
その通りです!
だから2の選び方が0個~3個の4通り、3の選び方が0個~2個の3通り、5の選び方が0個~1個の2通りあります。
よって360の約数の個数は4×3×2=24個になります。
倍数で覚えておきたいこと!
さあ次は倍数で覚えておくと役に立つことを教えるよ!
倍数は約数より簡単な気がする…!
本当かな…(笑)
倍数の見分け方と倍数の代表問題を紹介していきます。
倍数の見分け方を覚える
倍数の見分け方を覚えると数的感覚も養われて
分数の約分や比を簡単にするときに役立つのでぜひ代表的なものは覚えておきましょう!
- 2の倍数・・・1の位が0,2,4,6,8
- 3の倍数・・・各位の和が3の倍数
- 4の倍数・・・下2桁が「00」か4の倍数
- 5の倍数・・・1の位が0か5
- 9の倍数・・・各位の和が9の倍数
最低限覚えておくべきものは上の5つです。
2の倍数・5の倍数
2の倍数と5の倍数は簡単です。
1の位が0,2,4,6,8であれば2の倍数です。
1の位が0か5なら5の倍数です。
当たり前ですが共通の1の位が0なら10の倍数にもなりますね。
これはさすがに大丈夫です!
3の倍数・9の倍数
各位の和が3の倍数であれば3の倍数、9の倍数であれば9の倍数になります。
そもそも9という数が3×3なので似ているのは当たり前ですね。
これは多くの問題で使う場面があるのでぜひ覚えておきましょうね!
A君!
じゃ確認をしてみよう!
3586〇
〇に何を入れれば3の倍数になるかな??
えーと…
3+5+8+6=22だから…
あと2を足せば24だから3で割れます!
素晴らしい!
もちろん2も正解だけど5や8でもOKだよ!
4の倍数
4の倍数は下2桁だけを見ればOKです。
4の倍数は下2桁が「00」か4の倍数になっていればよい。
26854752458456524は4の倍数です!
ながっ!!
11の倍数(発展編)
まれに入試問題に登場する11の倍数の問題。
11の倍数の見分け方も面白いのでこれも説明していきます。
例えば138754、294723は11の倍数です。
すぐに11の倍数と見分けるには2つのグループに分けて考えます。
138754
赤のグループの和は14
青のグループの和は14
294723
赤のグループの和は8
青のグループの和は19
2つのグループに分けたときにその差が0か11の倍数になっていれば、その数は11の倍数になります。
面白いなこれは!
知っておくと意外と役立つ入試問題があるよ!
よく見る倍数の有名問題
~で割ると~余りのような問題ってよく見ますよね。
私個人的には最初は書き出していって感覚をつかむことも大切だと思います。
将来的には時間短縮のためにパターン化してしまうと楽なので覚えると良いですね!
パターンは3つ(言葉で書くのが難しいので具体的な数字で書いていきます)
- 5で割ると2余り、7で割ると2余る数は?
- 3で割ると1余り、4で割ると2余る数は?
- 7で割ると2余り、9で割ると5余る数は?
倍数の有名問題:5で割ると2余り、7で割ると2余る数は?
ふたつの共通点は余りが同じということです。
5で割ると2余り、7で割ると2余る数は
35の倍数+2とまとめることができます。
(35は5と7の最小公倍数、2は共通の余りが2ですよ)
確かに書き出していくと…
5で割ると2余る
2 7 17 22 27 32 37 …
7で割ると2余る
2 9 16 23 30 37 ………
37が最初に見つかるね!
倍数の有名問題:3で割ると1余り、4で割ると2余る数は?
これは不足が同じパターンです。
3で割ると1余り、4で割ると2余る数をそれぞれ図示していきます。
3で割ると1余り、4で割ると2余る数は図の通り両方ともあと2足りない(2不足)といえます。
これは、12の倍数-2とまとめることができます。
(12は3と4の最小公倍数、-2は2足りない)
倍数の有名問題:7で割ると2余り、9で割ると5余る数は?
これの共通点は…
余りは違う…
不足も違う…
何かあるのか…??
共通点はありませんよ!
最後に共通点がないものはどうすれば良いのか?
これは気合いで書きだします!!
ひぇー--
大丈夫です。
最初の数さえ探せてしまえばあとは計算で出すことができます。
7で割ると2余る数 2 9 16 23 ・・・
9で割ると5余る数 5 14 23 ・・・
はじめの数だけ頑張って探せば、以降の数は計算で出すことができます。
上の数は7ずつ増えて、下の数は9ずつ増えるので次の数は公倍数の63だけ増えた数になりますよね!
よって63の倍数+23とまとめることができます。
(63は7と9の最小公倍数、23は気合いで調べた数)
【中学受験算数】約数・倍数の基本を分かりやすく解説:まとめ
うわー!
今日はいっぱい学んだなー
お腹いっぱい!
今回は約数・倍数について最低限知っておくべきことをまとめました。
約数を書き出す時はセットで書くようにしましょうね!
《約数の個数で覚えておくこと》
- 約数の個数が2個のもの・・素数
- 約数の個数が奇数個のもの・・平方数
- 約数の個数が3個のもの・・同じ素数×同じ素数
《約数の個数の出し方》
素因数分解をする
例えばa×a×a×b×b×cであれば
(3+1)×(2+1)×(1+1)=24個となります。
倍数については見分け方と「~で割ると~余る」問題について書きました。
《倍数の見分け方》
- 2の倍数・・・1の位が0,2,4,6,8
- 3の倍数・・・各位の和が3の倍数
- 4の倍数・・・下2桁が「00」か4の倍数
- 5の倍数・・・1の位が0か5
- 9の倍数・・・各位の和が9の倍数
《~で割ると~余る問題》
- 5で割ると2余り、7で割ると2余る数は?
余りが同じパターン 35の倍数+2 - 3で割ると1余り、4で割ると2余る数は?
不足が同じパターン 12の倍数-2 - 7で割ると2余り、9で割ると5余る数は?
気合いで探すパターン 63の倍数+23
数の性質は入試では難関校だけではなく中堅応でも超重要な単元ですので今回書いた最低限のことはしっかり頭に入れておきましょう。
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。
基本をマスターしたら問題集にチャレンジしていきましょう!
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