中学受験の話題本「勇者たちの中学受験」を読んだ感想を塾講師である私が書いていきます。
この本を読むきっかけはtwitterで話題になっていたからです。
これは塾講師として読まないわけにはいかない!
- 塾批判が実名でされている
- 学校名なども実名でリアル
- 感動するストーリー
この3点がtwitterでよく流れていましたので、どんなもんかと興味があり本を読んでみる事にしました。
著者 | おおたとしまさ 著 |
---|---|
ジャンル | 教育・学参 |
出版年月日 | 2022/11/10 |
ISBN | 9784479393948 |
判型・ページ数 | 4-6・256ページ |
定価 | 1,650円(本体1,500円+税) 電子書籍は1,568円 |
私は電子書籍版を購入して読みました。
ちなみに私は電子書籍読み放題の「” target=”_blank”>kidle Unlimited」に加入していて日々の電車等で中学受験関係の本を読み漁っていますよ!
「勇者たちの中学受験」は有料ですが読み放題の中にも役に立つ本がいっぱいありますよ!
※ネタバレも含みますのでまだ読んでない方はご注意ください!
この記事を書いた人:さば先生
中学受験の塾講師として18年。今までの教えてきた生徒数は3000名以上。教室長としても複数教場を運営後、算数の教科責任者として若手の育成や教材作成を手掛ける。現在は東京の有名塾の管理職かつ現役で教壇に立ち続けています!
twitterで中学受験のお役立ち情報を毎日発信中!フォローお願いします。
【中学受験の話題本】「勇者たちの中学受験」を読んだ塾講師の感想
中学受験の話題本である「勇者たちの中学受験」を読んだ感想は…
感動した!
長いこと塾の講師をしていると本当に多くの出来事があります。
この本を読んでいるとその時の記憶がフラッシュバックしてくるんですよね。
特にエピソードⅢの話は電車内で読んでいて泣きそうなのをグッとこらえながら読んでいました。
え…おじさんが電車で…
・・・・・・・・・・。
それではエピソードごとの感想を書いていきます。
「勇者たちの中学受験」:エピソードⅠ「アユタ」で参考になる点
エピソードⅠ「アユタ」で中学受験をさせる親が参考になるであろう点は以下の通りです。
- いつもと変わらず接することが大事
- 子供の入学試験中に近辺を散歩をする
- エクセルでの成績管理
- 小6の11月は魔の月
- 入試には公共機関で行く
- サレジオ学院の校長先生のすばらしさ
- ミライコンパスの発表のあっけなさ
- 入試期間もいつもと変わらずルーティン学習をする
- 合格体験記をあてにしてはいけない
今はミライコンパスでの発表がほとんどです。
私も本当に合格発表のあのあっけなさにはびっくりします。
合格すると桜が咲いて「合格おめでとうございます」
不合格だと「残念ながら不合格です」
それでもあの桜の咲いた画面で涙を流すこともよくありますが…
「勇者たちの中学受験」:エピソードⅠ「アユタ」を読んだ感想
アユタ君のエピソードの中で塾の講師としての所感をいくつか書きたいと思います。
- 先取り教育はアリかナシか
- 栄光学園⇒慶応普通部⇒浅野
- 偏差値通りの結果になる
先取り教育はアリかナシか
アユタ君は先取り教育で低学年の頃に成績がよかった。
それゆえに、親は最初に描いていた「子供の成長」という中学受験の目標が「志望校合格」にだんだんと変わってしまった。
別にこれが悪いことではありませんが、はっきり言ってしまうと先取り教育をしたからと言って「難関校に合格できるわけではない」ということです。
先取り教育をする上で大事なことは、子供がそれを望んでいるか?
私は子供が興味を持って自ら勉強するのであれば先取り教育はどんどんやるべきだと考えます。
こちらにも先取り教育について書いていますので参考にしてみてください。
栄光学園⇒慶応普通部⇒浅野
アユタ君の第一志望校の変化が気になりました。
子供は第一志望校を変更すると、当たり前ですがモチベーションが下がります。
しかし、アユタ君は二度も第一志望校を変更しています。
これはかなり戦略的ミスの気がします…
親も諦めがつかなかった…というのも良く分かります。
確かに栄光学園は当たり前のことができた上で、さらに発想力や思考力が必要とされます。
アユタ君ぐらいの偏差値の子では太刀打ちができません。
その意味では慶応普通部の方が妥当でしょう。
ただ、問題が栄光よりも優しいからといっても慶応普通部はかなりのスピード・情報処理力が求められます。
そして、受験者のレベルも栄光学園と慶応普通部は大きく変わるわけではありません。
第一志望校を変更することは止む負えませんが、より合格する可能性がずっと高くなる選択をしなければあまり意味がありません。
志望校の選択はよく考えてお子様に最適な併願を組みましょう。
偏差値通りの結果になる
アユタ君の結果はある意味で「偏差値通りの結果」といえるでしょう。
中学受験は必ずしもする必要がありません。
だからこそ、せっかく挑戦するのであればチャレンジはするべきだと私は考えます。
でも、実際はアユタ君のように偏差値通りになってしまうことは別に不思議なことではありません。
今まで見てきた生徒を考えると7~8割の子は偏差値通りの結果になります。
このことを忘れずにしっかりと併願を組んで入念な準備をしておく必要があります。
そして子供の頑張りを形に残してあげることも親の役目です。
くれぐれも全落ちは回避しましょう。
「勇者たちの中学受験」:エピソードⅡ「ハヤト」で参考になる点
エピソードⅡ「ハヤト」で中学受験をさせる親が参考になるであろう点は以下の通りです。
- 1月校の栄東は約1万人の受験者がいて合否とともに点数と順位が分かる
- 早稲田アカデミーの特待生について
- 逗子開成は1次,2次の問題で3次の問題の単元が推測できる
- 早稲田アカデミーの受験ツアーについて
- 兄弟でも全然違う
- 四谷大塚やグノーブルのこと
- 早稲田アカデミーの宿題量について
- 全国統一小学生テストで成績優秀者になるとタブレットがもらえる
- 早稲田アカデミーとスピカ・馬淵教室の関係
- 親の学歴コンプレックスは危険
- ママ友との付き合い方
- 中学受験は偏差値が全てではない
- 私塾「いもいも」のこと
最上位生の話です。
これは私も経験があるので読み入ってしまう内容でした。
最上位生でも、というかだからこそいろいろと悩みがあります。それがよく表現されてる話でした。
そして問題の…塾批判が印象的なエピソードⅡでした。
「勇者たちの中学受験」:エピソードⅡ「ハヤト」を読んだ感想
ハヤト君のエピソードの中で塾の講師としての雑多な所感をいくつか書きたいと思います。
- 痛烈な塾批判
- 子供の小さな変化に気づけるか
- 最難関は自走できなければいけない
痛烈な塾批判
これは完全に早稲田アカデミーの悪口でしたね。
私もこの業界は長いので早稲田アカデミーのこういった話はよく聞いています。
ただ、塾も企業なのでしょうがない部分もあります。
最上位の特別扱いや、最難関校の実績稼ぎ、合格実数のカウント法などは百歩譲って良いのですが、特に私が気になったのは以下の2点です。
- 入試前に灘に1名合格という「速報メール」
- 出陣式で灘合格者に対しての「金星おめでとう」という発言
不合格者がいるのにこれはどうなのよ?
これが事実かどうかは分かりませんが、これはあまりにひどい対応です。
特に受験生に対してはメンタル維持が何より大切です。
不合格者の対応を最優先にするのが最低限の塾のマナーだと思いますが…。
私が社員ならこの会社は辞めようと思いますね…
本なので少し誇張して書いたと思いたいですね。
子供の小さな変化に気づけるか
これは私もなかなか勘づけませんが、永遠のテーマでもあります。
例えば塾だと退塾。
上手くいってると思っていた子が突然中学受験を断念するケースがよくあります。
予兆を感じることもありますが、ほとんどが「えっ!?」というタイミングで退塾をしてしまいます。
急すぎてショックなことが多いですね。
成績についてもあります。
例えば、小学生はフッと急に国語の読解で要旨を掴み始めるなどの瞬間があります。
こういった瞬間に気づいていればもう少し成績を上げれたのにな、と後で後悔することなどもあります。
その瞬間は見逃したくないわ!血眼で見つけるわ!!
最難関は自走できなければいけない
もちろん全員ではありません。
でも私が見てきた最難関生はほとんどの子が「自走」していました。
親が中学受験の勉強に関わるのは、簡単なスケジュール管理と健康管理ぐらいです。
成績が悪くても、良いとこを探すか、「次は頑張ろうね!」と声をかける程度です。
これは親が楽観的で前向きという訳ではなく、あえて演じているケースもあります。
そうはいっても自走するためには助走も必要です。
助走中はぜひ保護者の方が全力でサポートをしてほしいですね。
「勇者たちの中学受験」:エピソードⅢ「コズエ」で参考になる点
エピソードⅢ「コズエ」で中学受験をさせる親が参考になるであろう点は以下の通りです。
- 親子ともに気分の乗る曲を作っておく
- 入試の後は答え合わせをしない
- 小学校は2週間ぐらい前から休む
- 朝にラジオ体操をする
- 家ではゆっくりさせてあげる
- 2日までに合格校を勝ち取る
- 「うのき教育学院」について
- 本が好き₌国語ができるではない
- 女子は精神面で成績が変化する
- 過去問の相性は大事
- 中学受験断念からの復活
- 第一志望にチャレンジする大切さ
- 偏差値ではない一校の合格の重み
- 4日でも頑張っている子はたくさんいる
このエピソードは本当に良い!
このブログを書くためにもう一度読み返しましたが、3回ウルッときてしまいました。
健気に中学受験を頑張る姿は心に響くものがあります。
「勇者たちの中学受験」:エピソードⅢ「コズエ」を読んだ感想
エピソードⅢ「コズエ」を読んでの雑多な所感です。
- 元気で終わろう…
- 第一志望は諦めない
- 大手だけが良い塾ではない
元気で終わろう…
本の中に登場するこの言葉
元気で終わろう
コズエはいろいろなことが積み重なり、一度は受験断念を決意します。
そこからなんとか再起を果たしますが、そのときの母親のセリフです。
とても感動した言葉でした。
とにかく子供に鬼のように勉強させて、成績を上げるためならどんなにつらいことでもさせる。
そして念願の第一志望校に合格する。
これが幸せなのでしょうか?
そんなことを考えさせるお話でした。
子供が目標に向かって元気に成長していくことが私は中学受験の素晴らしさだと思っています。
第一志望は諦めない
正直、第一志望校に受かったから良かった、偉いなんて私は思いません。
でも少なくとも子供達はその第一志望校に向かって今まで多くのことを我慢して頑張ってきました。
だから、私は子供の第一志望校を全力で応援します。
過去の生徒でも第一志望校が持ち偏差値よりも10~15高い子もいました。
それでも合格を勝ち取るために、やれることをやってきたつもりです。
残念ながら中学受験では第一志望校に合格する子はおよそ30%と言われています。
仮に不合格だとしても「第一志望校をあきらめずに頑張った経験」は必ずその後の人生でもプラスになると信じています。
そこを目指すと決めたのであれば最後まで全力で応援してあげましょう!
大手だけが良い塾ではない
コズエは「うのき教育学院」という塾に通っていました。
私はこの塾を知りませんでした…
これは母親がした素晴らしい選択でした。
私は大手の塾にいたこともありますし、各塾に知り合いがいます。
いろいろと話を聞くとそれぞれの塾で良いなという点もあれば、なんだそれという点もあります。
結局はお子様次第でどこが良い塾かは変わるということです。
もっといえば、その校舎の雰囲気やどんな先生がいるかでも全然違います。
ぜひあなたのお子様に最適な塾探しをしましょう。
私がかつて師と仰いでいた講師に言われたことがあります。「教材なんてなんでもいいんだよ。そこにある教材でどう教えるかが大事だ」と。今はまさにそうだと思っています。教材やシステムよりもその子のやる気をどうしたら引き出すか、どうしたら志望校に合格させられるかを本気で考えてくれる講師がいるかの方がはるかに大事ですよね。
著者 | おおたとしまさ 著 |
---|---|
ジャンル | 教育・学参 |
出版年月日 | 2022/11/10 |
ISBN | 9784479393948 |
判型・ページ数 | 4-6・256ページ |
定価 | 1,650円(本体1,500円+税) 電子書籍は1,568円 |
私は電子書籍版を購入して読みました。
ちなみに私は電子書籍読み放題の「” target=”_blank” rel=”noreferrer noopener”>kidle Unlimited」に加入していて日々の電車等で中学受験関係の本を読み漁っていますよ!
「勇者たちの中学受験」は有料ですが読み放題にも結構面白い本がいっぱいありますよ!
【中学受験の話題本】「勇者たちの中学受験」を読んだ塾講師の感想|まとめ
今回は中学受験の話題本である「勇者たちの中学受験」を読んだ塾講師の感想を書きました。
総括としては、中学受験をお考えの方、中学受験で奮闘中の方は多くの大事な点が散りばめられているので読むことをおすすめします。
現実的な話で、かつ塾名や学校名が実名なのでスッと話が入ってくるはずです。
ただ、現6年生で中学受験を間近に控えている人は読むことでとても不安になってしまう方もいるかもしれません。
そういう方は受験が終わった後にでも、思い出がてら読んでみると良いかと思います。
この本にはエピソード3つの他に「解説」というのがくっついていて、そこでも興味深い話がいくつも書いてありますよ!
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント